安房宮 源宗著
2024年04月19日発売定価2,300+税
聖徳太子 三法を説く 先代旧事本紀大成経伝(六)は、四巻ある聖皇本紀を一冊にまとめ、漢文読み下し文とわかりやすい現代語訳、解説を付したものです。
聖徳太子の数多くの功績のみならず周囲のエピソードもふんだんに記されています。まず奇しき生誕の経緯、幼き頃から驚嘆する鬼才ぶりに敏達天皇の寵愛を受けた少年期、そして父用明天皇を喪い激しく悲嘆し服喪する諒闇の最中に起きた大連物部守屋討伐時の四天王への誓約の真実など、従来語られてきた説とは違う記述にも注目です。また推古天皇に請われて再三辞退するも儲君となって以降、一貫して三法に裏打ちされた言動をもって、因習に縛られることなく多くの改革と創造を成して補弼に勤めました。国の内外ともに厳しい判断が求められるなかで護国と兆民の暮らしを守るために内政の充実を重んじ、聖徳五憲法(十七条憲法の原典)を定め三法による統治を明文化しました。
こうしてゆるぎない道を示し、その規を自らに課して行い、朝早く参内し日暮れて遅く帰る姿に人々はしばしば心を寄せ案じました。休みなく勤める日々には、穏やかな恵みの光や無垢の喜び、愛すべきものたちも常にそばにありました。ここに要約しきれない逸話の数々に、遠いいにしえの人が熱を帯び身近に蘇えるようです。敏達から推古まで四君に事えた希代の人聖徳太子の言葉を、今こそ読み継いでいただきたいと思います。